パターンって、分かったようで分からない言葉ですよね?
でもパターンの意味をちゃんと理解すると、僕らの世界の見え方は劇的に変わります。
今回はそんなパターンの意味を、ベイトソンの言葉を参考にしながら解説していきます。
まずは定義から。
パターンとは、ある一部を取り出したとき、残りの部分のありさまをランダムな確率よりも高い確率で推測することができる集合体を指します。
こんな風に言うと難しく見えますが、実際は凄く簡単です。
例えばベイトソンはこんな例を挙げています。
ひと切れの英文の中に現れたTという文字は、その次にHやRがくる可能性が高いことを告げている。すなわち、Tの直後に設けた切れ目の向こう側のありさまを、われわれはランダム以上の確率で推測することができる。
(引用元:グレゴリー・ベイトソン著『精神の生態学』 P202)
もっと簡単なものを挙げると
昨日の上司の様子から、今日の行動の様子が推測できる。
わたしの発する言葉から、あなたがどんな返答をするかを、わたしは推測することができる。
(引用元:グレゴリー・ベイトソン著『精神の生態学』 P203)
というのもあります。
まだまだ例を出しましょう。
など、これらはすべてパターンです。
こうやって見ると、僕らの周りにはパターンが溢れかえっていることが分かります。
つまりパターンとは、Aを見たり聞いたり(知覚)したときに同時にBやCが思い浮かぶものすべてを指すということです。
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ではなぜ僕らはパターンを作ったり見つけたりするのか。
ベイトソンは
パターン(中略)を作り出し、ランダム性を減じることがコミュニケーションの本質であり、その存在理由なのである。
(引用元:グレゴリー・ベイトソン著『精神の生態学』 P204)
と言っています。
例えば友達に「おはよう」と言えば「おはよう」と返ってくることを僕らはランダム以上の確率で推測することができます。
仮にこの推測がまったくできない場合、つまり「おはよう」と言ったら相手がどう反応するかが分からない場合、僕らは挨拶をしません(できません)。
「おはよう」と言ったら怒られるかもしれない、殴られるかもしれない、相手が発狂するかもしれないなど、完全に相手の反応がランダムだったら、怖くて挨拶なんてできないワケです。
実際、僕らが異常な人(普通じゃないように見える人)に近づかないのは、そういった理由によります。
友達に「おはよう」と言った場合は、「おはよう」とは返ってこなかったとしても、無視されるとか、昨日の話題を持ちかけられるとか、ニコッとされるとか、それぐらいのことは「普通」に予測できます。
相手が襲ってくるなんてことは「普通」は考えないし、そんなことはまず起こりません。
「普通」とは、僕らの日常で起こりうるパターンの集合体です。
そのパターンから逸脱したものを僕らは異常と言います。
もし世界にパターンが何もなかったら、僕らはおちおち寝てもいられません。
布団に入れば眠れる、ということが予測できるから、僕らは安心して布団に入れるワケです。
布団に入たら殺されるかもしれないとか、一度眠ったらもう目が覚めないかもしれないとか、そんな異常な可能性を考えだしたらもうどうにもなりません。
つまり、この「普通」を作ることこそがコミュニケーションの本質であり、生きるとは究極的には「普通」を作ったり見つけたりするプロセスなのです。
パターンの概要が分かったところで、次はもう少し具体的に自分のパターンというのを考えてみましょう。
自分のパターンが分かると、人生を変えるのが容易になります。
例えば僕には、知らない人の中に入ると周りの目を気にしてしまう、というパターンがあります。
これがあらかじめ分かっているので、僕はなるべくそういうところには出向かないようにしています。
それよりも、家でシコシコとブログやメルマガの記事を書いている方が僕は実力を発揮できる。
こういうパターンが分かっていると凄く楽だし、作業効率も上がって無理もなくなります。
もっと単純な話で言うと、朝型や夜型というのも1つのパターンです。
「一流の人間は朝4時に起きている」みたいなことが本で言われたりもしますが、それは自分のパターン次第です。
朝が調子のいいパターンの人もいれば、夜が調子のいいパターンの人もいます。
僕は完全に朝型ですが、そうじゃない人が朝にがんばろうとしても眠気で時間が無駄になるだけです。
もちろん僕だって朝眠いときはあるし、夜に仕事がはかどることもありますが、ランダムよりも高い確率で「朝の方が調子がいい」ということが分かっています。
つまり朝型とは、確率論的に朝に仕事をした方が効率がいい、自分にはそういうパターンがあるということなのです。
他にも、僕らにはいろんなパターンがあります。
など、こういった悪いパターンが自覚できていれば、それを直すこともできるし、逆に
などの良いパターンが自覚できれば、それを積極的に取り入れることでどんどん人生は良い方向に変わっていくワケです。
パターンというのは、こういう風に考えると非常に役立つものになります。
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自分のパターン同様、相手のパターンを知ることも生きていく上で非常に重要です。
相手のパターンが分かれば、(ちょっと言葉は悪いですが)相手を手のひらで転がせるようになります。
要は、相手を思い通りに動かせる、ということです。
僕らの頭の中には認識パターンというのがあります。
例えば「私は元大統領です」と言えば、その人の中身を知らなくても僕らは凄い人と認識します。
この場合、相手に凄いと思わせるために何を言えばいいかは明確ですよね?
もちろん凄いと思わない人もいますが、ランダムよりも高い確率で凄いと思ってもらえることは間違いありません。
つまりこれはパターンなのです。
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元大統領でなくても、相手がサッカー好きなら「元Jリーガーです」と言えば凄いと思ってもらえるだろうし、相手がロック好きなら「元バンドマンです」と言えば興味を持ってもらえます。
何々が好き、というのも1つのパターンです。
サッカーが好きということは、サッカーの話題を振ればランダムよりも高い確率で興味を持つということです。
ロックが好きな場合も当然同じ。
つまり、僕らは相手のパターンを知ることで、(ランダムよりも高い確率で)こちらの思い通りに相手の心や行動を操ることができるのです。
こう言ってしまうと邪悪な感じがするかもしれませんが、これはコミュニケーションを円滑にすることであり、相手が望んでいることでもあります。
だって考えてみてください。
相手が自分の興味のある話題を振ってくれたら、嬉しくないですか?
そういう素朴なことなんですよ。
実は僕らは「誰かの手のひらで転がされたい」とどこかで思っています。
コミュニケーションが上手い人とは、相手のパターンを誰よりも理解し、適切に相手を気持ちよくさせることができる人なのです。
最後に世界のパターンについても話しておきましょう。
科学者とは、世界のパターンを見つけるために日夜努力する人たちです。
宇宙のこと、物理のこと、生物のこと、心のこと、脳のこと、言語のことなど、すべての研究はそれらのパターンを見つけることが目的になっています。
法則なんてのはその最たるものですよね。
宇宙の法則、物理の法則、メンデルの法則、返報性の法則、メラビアンの法則などは、高確率で反応が推測できるパターンです。
物理の法則がパターンじゃなかったら、ビルは建てらないし、自動車も走れません。
宇宙の法則がパターンじゃなかったら、地球は太陽の周りを回ることなく迷走し、生物はもはや存在していないと思います。
この世はパターン(理)で成り立っている。
それが科学者が前提としている信念であり、その信念があるからこそ彼らはそのパターンを解き明かすために人生を懸けるのです。
僕がこの記事で話したことも、世界のパターンに他なりません。
自分や相手のパターンを知ることで、ランダムよりも高い確率で人生が良くなる。
そういうパターンが世界にはあります。
これを成功法則と呼ぶかどうかはともかく、このパターンに従った方がいいのは確かです。
自分のパターンを知ってください。
そして相手や世界のパターンを知るよう、努めてください。
それが僕らが幸せに生きられる唯一のパターンなのです。
ありがとうございました。
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