ども、杉野です。
哲学書って最初は何から読んでいいか分からないですよね。
立ち読みしても何が書いてあるのかよく分からないし、タイトルも抽象的だし、そもそも読める気がしない。
初心者が自力で読める哲学書を探すのって結構大変なんです。
そこで今回は、初心者でも読みやすいおすすめの哲学書を紹介したいと思います。
僕がこの記事で紹介するのは哲学の入門書ではなく、ガチの哲学書の中で比較的読みやすいものです。
どれも難しいと思われている哲学書ですが、そんな中にも難易度が低めのものもありますので、哲学書を楽しめるようになりたい場合は、まずはここで紹介する本から始めてみてください。
スペインの哲学者オルテガが現代ヨーロッパへの警告として書いた名著『大衆の反逆』。
何を置いても、まずはこれを読んでほしいですね。
僕がおすすめする理由は、オルテガの言葉が単純にカッコイイから(笑)
いくつか紹介しておくと
物事に驚き、不審を抱くことが理解への第一歩である。
それは知的な人間に特有なスポーツであり、贅沢である。
だからこそ、知性人に共通な態度は、驚きにみはった目で世界を観るところにあるのである。
(オルテガ著『大衆の反逆』 P13より)
人間を最も根本的に分類すれば、次の二つのタイプに分けることができる。
第一は、自らに多くを求め、進んで困難と義務を負わんとする人々であり、第二は、自分に対してなんらの特別な要求を持たない人々、生きるということが自分の既存の姿の瞬間的連続以外のなにものでもなく、したがって自己完成への努力をしない人々、つまり彼のまにまに漂う浮標のような人々である。
(オルテガ著『大衆の反逆』 P18より)
生きるとは、この世界においてわれわれがかくあらんとする姿を自由に決定するよう、有無を言わさず強制されている自分を自覚することである。
(オルテガ著『大衆の反逆』 P65より)
などの言葉が出てきます。
もちろん内容も素晴らしいんですが、飛ばし読みするだけでも得られるものは多いです。
飛ばし読みしても意味が分かる哲学書なんて数えられるほどしかないので、その意味でも貴重な一冊だと思います。
おまけに文庫だから安い(笑)
オルテガがこの本で言ってるのは
現代人って平気で自分にも他人にもウソをつくし、殻に閉じこもってばっかだし、自分が一番偉いと思ってて何の努力もせずに口ばっか達者だけど、そのままじゃ世界ってオワコンじゃね?
ってことです。
それをすんごく丁寧に危機感を煽るように書いたら『大衆の反逆』になった、ってだけ。
難しい話をしているワケじゃない、って言っちゃうと語弊があるんだけども、僕らが生きてて感じるような違和感をオルテガが言葉にしてくれているのは間違いありません。
今の社会に生き難さを感じている人ほど共感できると思います。
よかったら読んでみてください。
イギリスの生粋の哲学者であるラッセルが書いた哲学入門のための哲学書『哲学入門』。
この本は、生粋の哲学者が大真面目に哲学の入門書を書くとこうなる、という面白い例です。
僕らが普段目にする哲学の入門書はどこか読者をなめているというか、読者のレベルに合わせ過ぎている感が否めません。
読みやすいように工夫はされていますが、それを読んだからといって哲学書を読む「読解力」は身につかない。
しかし『哲学入門』は、これを読むことで哲学書を読むために不可欠な読解力(主に論理的思考力)が身につくように書かれています。
簡単だとは言いませんが、「確実に身になる」という点で最初に読む本としては最適です。
がんばってみてください。
ドイツの哲学者ショウペンハウエルが書いた痛烈な読書批判『読書について』。
初めてこの本を読んだときは、それはそれは衝撃を受けました。
読書とは他人にものを考えてもらうことである。1日を多読に費やす勤勉な人間はしだいに自分でものを考える力を失ってゆく。
(引用元:ショウペンハウエル著『読書について』表紙より)
この言葉からも分かるように、この本では読書は「甘え」として定義されています。
お前らは本ばっか読んでるから考える力がつかないんだ、もっと自分の頭で考えろ!
ショウペンハウエルはそう言っているワケですが、彼ほどの哲学者に言われるとまったくもって頭が上がりません(笑)
この本って哲学書なの?と言われると、ちょっと自信はないんですが、哲学者が書いた本という意味で取り上げさせてもらいました。
書かれていることがあまりにも辛辣で途中から笑えてくるので(笑)、他の本を読んで疲れたときに読むといいかもしれません。
ギリシャの哲学者アリストテレスが正しい生き方とは何かを説いた『ニコマコス倫理学(上)』『ニコマコス倫理学(下)』。
改めて読み返して思いましたが、この本の内容は自己啓発です。
幸福こそが最高の善であり、その善を達成するには卓越性が必要だとアリストテレスは説きます。
卓越性とは、自分が他人よりも卓越していること(優れていること)、今で言うところの個性ですね。
その卓越性(個性)を発揮することこそが人間の幸福である、と。
彼はそう言っているワケです。
これは僕らでも普通に腑に落ちることですし、これぐらい身近なことが書かれていれば多少表現は難しくても案外すんなり読めてしまいます。
哲学書というのは時代が進めば進むほど内容が複雑になっていくので、初心者はなるべく昔のものを読むのがオススメです。
今回は紹介しませんが、ソクラテス以前の哲学者やプラトンの本なんかも結構読みやすいものが多いので、最初はその辺から攻めてみるのもいいでしょう。
フランスの哲学者デカルトが書いた近代合理主義を支える重要図書『方法序説』。
「我思うゆえに我あり」で有名なデカルトの主著です。
主著と言っても100ページほどしかない薄さで、言葉も平易で分かりやすいものになっています。
この本では「複雑なものは分かるところまでバラバラにして考えよう」という要素還元主義の考え方や、正しい知識を得るためにデカルトが考え至った4つの原則などが紹介されています。
今の僕らにとっては当たり前の考え方も、すべてはデカルトから始まりました。
ほとんどの哲学書や学術書はこのデカルトの考え方を前提にして書かれているので、この本を先に読んでおくことは他の哲学書を読む際の一助となるでしょう。
今回紹介したのは
の5つでした。
個人的に一番おすすめなのはやっぱり『大衆の反逆』です。あまり有名な本ではないですが、読んだらオルテガに惚れると思います(笑)
今後は哲学の学び方や実生活への活かし方、哲学書の読み方なんかの記事も書いていければと思っています。
お楽しみに。
ありがとうございました。
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